検査の種類と解説
当社で取り扱っている検査をわかりやすく解説します。
疾患の種類、症状、感染経路、治療法など、正確に把握することが治療と予防の第一歩です。
梅毒
梅毒の原因・感染経路
梅毒は梅毒トレポネーマによる細菌性の性感染症で、世界中に広くみられます。
主に、粘膜や皮膚が、梅毒の病変部位と直接接触することで感染します。
具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)等です。
梅毒の発生状況
男性20代~50代、女性は20代が突出して増えています。
日本では1948年から梅毒の発生について報告の制度がありますが、報告数は、年間約11,000人が報告された1967年以降、減少していました。
ところが2011年頃から報告数は再び増加傾向となりました。2019年から2020年に一旦減少したものの、2021年以降大きく増加しています。
2022年には10月下旬の時点で10,000例を超える報告があり、注意が必要です。
梅毒の症状
病期によって、症状の出現する場所や内容が異なります。治療を行わなかった場合の典型的な経過は次のとおりです。
- Ⅰ期顕症梅毒:感染後数週間~3か月
- 梅毒トレポネーマが侵入した部位(主に口の中、肛門、性器等)にしこりや潰瘍(かいよう)ができることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。これらの症状は痛みを伴わないことが多いです。
治療をしなくても症状は自然に軽快しますが、ひそかに病気が進行しています。 - Ⅱ期顕症梅毒:感染後3か月~数年
- 感染から3ヶ月程度経過すると、梅毒トレポネーマが血液によって全身に運ばれます。この時期に、小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」とよばれる淡い赤い色の発疹が、手のひら、足の裏、体幹部などに出ることがあります。
その他にも肝臓、腎臓など全身の臓器に様々な症状を呈することがあります。
発疹などの症状は、数週間以内に自然に軽快しますが、梅毒が治ったわけではありません。また、一旦消えた症状が再度みられることもあります。
アレルギーや他の感染症などとの鑑別が重要であり、適切な診断、治療を受ける必要があります。 - 潜伏梅毒
- 梅毒血清反応陽性で症状が認めらない状態をさし、主に早期顕症梅毒 Ⅰ期とⅡ期の間、およびⅡ期の症状消失後にみられます。
- 晩期顕性梅毒(Ⅲ期・Ⅳ期):感染後数年~数十年
- 感染後数年程度経過すると、ゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘤が皮膚や筋肉、骨などに出現し、周囲の組織を破壊してしまうことがあります。
また大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)などが生じる心血管梅毒や、精神症状や認知機能の低下などを伴う進行麻痺、歩行障害などを伴う脊髄癆(せきずいろう)がみられることもあります。
現在では、抗菌薬の普及などから、晩期顕性梅毒は稀であるといわれています。
感染が脳や脊髄に及んだ場合を神経梅毒と呼び、どの病期でも起こりうるとされています。
また、妊娠している人が梅毒にかかると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡が起こったり、先天梅毒となることがあります。
梅毒の治療
治梅毒にはペニシリン系などの抗菌薬が有効です。国内では、抗菌薬の内服治療が一般的に行われてきました。神経梅毒などの場合は、抗菌薬の点滴により治療が行われます。
内服治療の場合、内服期間は病期などを考慮して医師が判断します。医師の許可を得るまでは、症状が良くなっても、自己判断で内服を中断しないようにしましょう。
梅毒の予防
粘膜や皮膚が梅毒の病変と直接接触しないように、また病変の存在に気づかない場合もあることから、性交渉の際はコンドームを適切に使用しましょう。
ただし、コンドームが覆わない部分から感染する可能性もあるため、コンドームで100%予防できない為、注意しましょう。