検査の種類と解説
当社で取り扱っている検査をわかりやすく解説します。
疾患の種類、症状、感染経路、治療法など、正確に把握することが治療と予防の第一歩です。
HPV(ヒトパピローマ)
HPV(ヒトパピローマ)とは?
HPV(ヒトパピローマウイルス)は感染する部位によって、子宮頸がん、肛門がん、膣がん、咽頭がんなどのがんや尖圭コンジローマなどの原因となります。
HPVには100種類以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因となるのは約15種類あり、日本人ではHPV16型と18型が子宮頸がんの原因の大半を占めています。
その他、HPV6型や11型は尖圭コンジローマなどの原因となります。これらの感染は性交渉を通じて主に広がります。特に子宮頸がんの発症に関しては、毎年約1万人の女性が罹患し、約3000人が死亡しています。
また2000年以降、患者数も死亡率も増加しています。以前は40~50歳代で発症がピークでしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えており、30歳代後半がピークとなっています。
HPV(ヒトパピローマ)の症状
HPVは主に性交渉でヒトからヒトに感染します。性交経験のある女性の50%以上が生涯で一度は感染する一般的なウイルスです。
感染者の90%以上では数年以内に自然に排除されますが、排除されず長期間感染したままでいると尖圭コンジローマや子宮頸がんが生じることがあります。
子宮頸がんの場合は、HPVの持続的な感染により、まず子宮頸部に前がん病変が生じ、その後数年から数十年を経て子宮頸がんに進展すると考えられています。
しかし、HPVに感染した女性のうち、子宮頸がんまで進展する割合はごくわずかで、自然にウイルスが排除されることも多いです。
子宮頸がんの前がん病変や早期の子宮頸がんでは、通常は症状がほとんどありません。また、子宮頸がんの進展に伴い、月経中でない時や性交渉時に出血したり、異常なおりものが増えたり、月経時の出血が増えたり、月経期間が長引くなどの症状が現れることがあります。
尖圭コンジローマは女性器や男性器にできるいぼ状の良性腫瘍であり、治療しても再発しやすく、ストレスを感じるケースもあります。通常は自覚症状が少ないですが、陰部の不快感や痛み、出血がみられることがあります。
HPV(ヒトパピローマ)の治療
子宮頸がんの一般的な治療法は手術です。がんの広がりに応じて手術方法が異なり、がんのある子宮頸部の組織を円錐状に切除する円錐切除術や、子宮を切除する単純子宮全摘出術、子宮と腟などを取り除く子宮全摘出術などがあります。
がんの進行に応じて、放射線治療や抗がん剤による化学療法も行われます。
他、いぼの機械的除去(凍結療法、電気焼灼、レーザー、または外科的切除など)や局所治療がありますが、完全な再発防止は難しく、再発時には再治療が必要です。
免疫力が正常な場合、尖圭コンジローマは自然消失することもありますが、治療が難しい場合もあります。
ときに各種の外用療法(塗り薬)にて直接皮膚に塗布することもありますが効果には個人差があります。セックスパートナーも定期的なカウンセリングやスクリーニング検査を受ける必要があります。
HPV(ヒトパピローマ)の予防
HPVワクチンを接種することで、HPVの感染を予防できます。また性交渉時のコンドームの使用などもHPV感染予防に有効です。ただし、これらの予防法はHPV感染を100%予防できるわけではありません。
そのため、HPVワクチンの接種の有無に関わらず、子宮頸がんや子宮頸がんの前がん病変(異形成)の早期発見のためには、定期的に医療機関にて子宮頸がん検診を受けることが大切です。